巻次
-
1026頁
表示設定
ブックマーク
表示設定
文字サイズ
書体
  • ゴシック
  • 明朝
カラー
テキスト情報
本文
画像情報
画像情報
本文

るとも、一念の信力にて、けしうしないたまうなり。されば、「無始已来輪転六道の妄業、一念南無阿弥陀仏と帰命する仏智無生の名願力にほろぼされて、涅槃畢竟の真因、はじめてきざすところをさすなり」(浄土真要鈔)という御ことばをひきたまいて、仰せそうらいき。されば、このこころを御かけ字にあそばされて、願正にくだされけり。
(4)一 御つとめのとき、順讃御わすれあり。南殿へ御かえりありて、仰せに、「聖人御すすめの和讃、あまりにあまりに殊勝にて、あげばをわすれたり」と仰せそうらいき。「ありがたき御すすめを信じて往生するひとすくなし」と御述懐なり。
(5)一 「念称是一ということしらず」と、もうしそうろうとき、仰せに、「「おもい、うちにあれば、いろ、ほかにあらわるる」とあり。されば、信をえたる体はすなわち南無阿弥陀仏なりとこころうれば、口もこころもひとつなり。」
(6)一 あさの御つとめに、「いつつの不思議をとくなかに」(高僧和讃)より「尽十方の無碍光は 無明のやみをてらしつつ 一念歓喜するひとは かならず滅度にいたらしむ」(同)と候う段のこころを御法嘆のとき、「光明遍照十方世界」(観経)の文のこころと、また、「月かげの いたらぬさとは なけれども ながむるひとの こころにぞすむ」とあるうたをひきよせ、御法嘆候う。なかなか、ありがたさ、もうすばかりなくそうろう。上様(蓮如)御立ちの御あとにて、北殿様(実如)の仰せに、「夜前の御法嘆、今夜の御法嘆とを、ひきあわせて仰せ候う、ありがたさありがたさ、是