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 仏、弥勒に告げたまわく、「汝等能くこの世にして、心を端しくし意を正しくして、衆悪を作らずは、甚だ至徳なりとす。十方世界に最も倫匹なけん。所以は何ん。諸仏の国土の天人の類は、自然に善を作して、大きに悪を為らずは、開化すべきこと易し。今我この世間において仏に作りて、五悪・五痛・五焼の中に処すること最も劇苦なりとす。群生を教化して、五悪を捨てしめ五痛を去けしめ五焼を離れしめ、その意を降化して、五善を持たしめて、その福徳、度世・長寿・泥洹の道を獲しめん」と。仏の言わく、「何等か五悪、何等か五痛、何等か五焼、何等か五悪を消化して、五善を持たしめて、その福徳、度世・長寿・泥洹の道を獲しむる」と。
 仏の言わく、「その一つの悪というは、諸天人民蠕動の類、衆悪を為らんと欲えり。みな然らざるはなし。強き者は弱きを伏す。転た相剋賊し残害殺戮して迭いに相呑噬す。善を修することを知らず。悪逆無道にして後に殃罰を受く。自然に趣向して神明記識す。犯せる者を赦さず。かるがゆえに貧窮・下賤・乞匃・孤独・

漢文

仏告弥勒。汝等能於此世、端心正意 不作衆悪、甚為至徳。十方世界、最無倫匹。所以者何。諸仏国土 天人之類、自然作善、不大為悪、易可開化。今我於此世間作仏、処於五悪 五痛五焼之中、為最劇苦。教化群生、令捨五悪、令去五痛、令離五焼、降化其意、令持五善、獲其福徳 度世長寿 泥洹之道。仏言何等五悪、何等五痛、何等五焼、何等消化五悪、令持五善、獲其福徳 度世長寿 泥洹之道。
仏言其一悪者、諸天人民 蠕動之類、欲為衆悪。莫不皆然。強者伏弱。転相剋賊、残害殺戮、迭相呑噬。不知修善。悪逆無道、後受殃罰。自然趣向、神明記識。犯者不赦。故有貧窮下賤 乞匃