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万善は自力なれば勤修を貶す、円満の徳号、専称を勧む。
三不三信の誨え慇懃にして、像末法滅同じく悲引す、と。
一生悪を造れども弘誓に遇えば、安養界に至って妙果を証す。
善導、独り仏の正意に明らかなり、深く本願に藉って真宗を興ず。
定散と逆悪とを矜哀して、光明名号、因縁を示す。
涅槃の門に入るは、真心に値うなり、必ず信・喜・悟の忍を獲れば、
難思議往生を得る人なり、すなわち法性の常楽を証す、と。
源信、広く一代の教を開く、ひとえに安養に帰して一切を勧む、
諸経論に依って教行を撰びたまう。誠にこれ濁世の目足とす。
得失を専雑に決判して、念仏の真実門に回入せしむ。
ただ浅深を執心に定めて、報化二土正しく弁立せり、と。
源空、もろもろの聖典を暁了して、善悪凡夫人を憐愍せしむ。
真宗の教証、片州に興ず、選択本願、濁世に施す。
生死流転の家に還来すること、決するに疑情をもって所止とす、
速やかに寂静無為の楽に入れることは、必ず信心をもって能入とす、といえり。

漢文

万善自力貶勤修、円満徳号、勧専称。
三不三信誨慇懃、像末法滅同悲引。
一生造悪遇弘誓、至安養界証妙果。
善導独明仏正意、深藉本願興真宗。
矜哀定散与逆悪、光明名号、示因縁。
入涅槃門値真心、必獲於信喜悟忍、
得難思議往生人、即証法性之常楽。
源信広開一代教、偏帰安養勧一切、
依諸経論撰教行。誠是為濁世目足。
決判得失於専雑、回入念仏真実門。
唯定浅深於執心、報化二土正弁立。
源空暁了諸聖典、憐愍善悪凡夫人。
真宗教証、興片州、選択本願、施濁世。
還来生死流転家、決以疑情為所止、
速入寂静無為楽、必以信心為能入。