巻次 - 573頁 表示設定 ブックマーク 表示設定 文字サイズ あ あ あ 書体 ゴシック 明朝 カラー あ あ あ テキスト情報 本文 画像情報 画像情報 本文 しそうらわば、その身ひとりこそ、地獄にもおち、天魔ともなりそうらわめ、よろずの念仏者のとがになるべしとは、おぼえずそうろう。よくよく、御はからいどもそうろうべし。なおなお、念仏せさせたまうひとびと、よくよくこの文を御覧じとかせたまうべし。あなかしこ、あなかしこ。九月二日 親鸞念仏人々御中へ(一〇) ふみかきてまいらせそうろう。このふみを、ひとびとにもよみてきかせたまうべし。遠江の尼御前の御こころにいれて御沙汰そうろうらん、かえすがえすめでたく、あわれにおぼえそうろう。よくよく、京よりよろこびもうすよしをもうしたまうべし。信願坊がもうすよう、かえすがえす不便のことなり。わるき身なればとて、ことさらにひがごとをこのみて、師のため善知識のために、あしきことを沙汰し、念仏のひとびとのために、とがとなるべきことをしらずは、仏恩をしらず、よくよくはからいたまうべし。また、ものにくるうて死にけんひとのことをもちて、信願坊がことを、よしあしともうすべきにはあらず。念仏するひとの死にようも、身よりやまいをするひとは、往生のようをもうすべからず。こころよりやまいをするひとは、天魔ともなり、地獄にもおつることにてそうろうべし。こころよりおこるやまいと、身よりおこるやまいとは、かわるべければ、こころよりおこりて死ぬるひとのことを、よくよく御はからいそうろうべし。信願坊がもうすようは、凡夫のならいなれば、わるきこそ本なればとて、おもうまじきことをこのみ、身にもすまじきことをし、口にもいうまじきことをもうすべきように、もうされそうろうこそ、信願坊がもうしようとはこころえずそうろう。 紙面画像を印刷 前のページ p573 次のページ 第二版p701~703へ このページの先頭に戻る