巻次 巻下 59頁 表示設定 ブックマーク 表示設定 文字サイズ あ あ あ 書体 ゴシック 明朝 カラー あ あ あ テキスト情報 本文 漢文 画像情報 画像情報 本文 ・銭財・衣食・什物なければ、また憂えてこれあらんと欲う。適一つあればまた一つ少けぬ。これあればこれ少けぬ。斉等にあらんことを思う。適具さにあらんと欲えば、すなわちまた糜散しぬ。かくのごとく憂苦して当にまた求索すれども、時に得ること能わず。思想して益なし。身心倶に労れて坐起安からず。憂念相随いて勤苦かくのごとし。またもろもろの寒熱を結びて痛みと共に居す。ある時はこれに坐して、身を終え命を夭ぼす。肯て善をなし道を行じ徳に進まず。寿終え身死して当に独り遠く去る。趣向するところあれども、善悪の道能く知る者なし。 世間の人民、父子・兄弟・夫婦・室家・中外の親属、当に相敬愛して相憎嫉することなかるべし。有無相通じて貪惜を得ることなかれ。言色常に和して相違戻することなかれ。ある時には心に諍いて恚怒するところあり。今世の恨みの意、微し相憎嫉すれば、後世には転た劇しく大怨と成るに至る。所以は何んとなれば、世間の事かわるがわる相患害す。すなわちの時に急やかに相破すべからずといえども、然も毒を含み怒りを畜え憤りを精神に結び 漢文 欲有之。適有一、復少一。有是少是。思有斉等。適欲具有、便復糜散。如是憂苦、当復求索、不能時得。思想無益。身心倶労、坐起不安。憂念相随、勤苦若此。亦結衆寒熱、与痛共居。或時坐之、終身夭命。不肯為善 行道進徳。寿終身死、当独遠去。有所趣向、善悪之道、莫能知者。世間人民、父子兄弟 夫婦室家 中外親属、当相敬愛、無相憎嫉。有無相通、無得貪惜。言色常和、莫相違戻。或時心諍、有所恚怒。今世恨意、微相憎嫉、後世転劇 至成大怨。所以者何、世間之事、更相患害。雖不即時 応急相破、然含毒畜怒、結憤精神、自然剋識、不得相離。皆当対生、更相報復。人在世間 愛欲之中、独生 紙面画像を印刷 前のページ p59 次のページ 第二版p63・64へ このページの先頭に戻る