巻次 - 741頁 表示設定 ブックマーク 表示設定 文字サイズ あ あ あ 書体 ゴシック 明朝 カラー あ あ あ テキスト情報 本文 画像情報 画像情報 本文 勧化を受けたてまつらずは、争か無上の大利を悟らん。既に一声称念の利剣を揮いて、忽ちに無明果業の苦因を截り、忝く三仏菩提の願船に乗じて、将に涅槃常楽の彼岸に到りなんとす。弥陀難思の本誓、釈迦慇懃の附属、仰がずんば有るべからず。諸仏誠実の証明、祖師矜哀の引入、憑まずんば有るべからず。これに因りて各本願を持ち、名号を唱えて、いよいよ二尊の悲懐に恊い、仏恩を戴き、師徳を荷いて、特に一心の懇念を呈わすべし。頌に曰わく、「世尊説法時将了 慇懃附属弥陀名五濁増時多疑謗 道俗相嫌不用聞」(法事讃)念仏「万行之中為急要 迅速無過浄土門不但本師金口説 十方諸仏共伝証」(五会法事讃)南無帰命頂礼尊重讃嘆祖師聖霊 第三に、滅後利益の徳を述すというは、釈尊の教網を三界に覆う。猶、末世苦海の群類を済い、今師の法雨を四輩に灑ぐ、遠く常没濁乱の遺弟を湿おす。彼の在世を謂えばすなわち九十歳、顕宗・密教、鑚仰せずということなし。其の行化を訪えばまた六十年、自利利他満足せずということなし。在家出家の四部、群集すること、盛なる市に異ならず。大乗・小乗の三輩、帰伏すること、風に靡く草のごとし。終に則ち花洛に還りて草庵を占めたまう。しかるあいだ、去んじ弘長第二 壬戌 黄鐘二十八日、前念命終の業成を彰して、 紙面画像を印刷 前のページ p741 次のページ 第二版p898・899へ このページの先頭に戻る