巻次
巻上
8頁
表示設定
ブックマーク
表示設定
文字サイズ
書体
  • ゴシック
  • 明朝
カラー
テキスト情報
本文
漢文
画像情報
画像情報
本文

 仏の言わく、「善きかなや。阿難。問いたてまつるところ、甚だ快し。深き智慧・真妙の弁才を発して衆生を愍念してこの慧義を問えり。如来、無蓋の大悲をもって三界を矜哀したまう。世に出興したまう所以は、道教を光闡して、群萌を拯い恵むに真実の利をもってせんと欲してなり。無量億劫に値いたてまつること難く、見たてまつること難し。霊瑞華の、時あって時に乃し出ずるがごとし。今、問えるところは饒益するところ多し。一切の諸天・人民を開化す。阿難、当に知るべし、如来の正覚、その智量り難くして導御したまうところ多し。慧見無碍にして、能く遏絶することなし。一餐の力をもって、能く寿命を住めたまうこと、億百千劫無数無量にして、またこれよりも過ぎたり。諸根悦予してもって毀損せず。姿色変ぜず。光顔異なることなし。所以は何んとなれば、如来は定・慧、究暢したまえること極まりなし。一切の法において自在を得たまえり。阿難、あきらかに聴け。今、汝がために説かん。」対えて曰わく、「唯然り。願楽して聞きたまえんと欲う。」

漢文

蓋大悲、矜哀三界。所以出興於世、光闡道教、欲拯群萌 恵以真実之利。無量億劫、難値難見。猶霊瑞華 時時乃出。今所問者、多所饒益。開化一切 諸天人民。阿難当知、如来正覚、其智難量、多所導御。慧見無碍、無能遏絶。以一餐之力、能住寿命、億百千劫、無数無量、復過於此。諸根悦予、不以毀損。姿色不変。光顔無異。所以者何、如来定慧、究暢無極。於一切法、而得自在。阿難諦聴。今為汝説。対曰唯然。願楽欲聞。