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 (第五・善巧摂化)かくのごとく菩薩、奢摩他・毘婆舎那を広略に修行して柔軟心を成就す。実のごとく広略の諸法を知る。かくのごとく巧方便回向を成就す。何ものか、菩薩の巧方便回向。菩薩の巧方便回向というは、いわく、説きつる礼拝等の五種の修行をして集むるところの一切の功徳善根をして、自身の住持の楽を求めず、一切衆生の苦を抜かんと欲うがゆえに、一切衆生を摂取して共に同じくかの安楽仏国に生まれんと作願せり。これを菩薩の巧方便回向成就と名づく。
 (第六・離菩提障)菩薩かくのごとく善く回向成就を知りて、すなわち能く三種の菩提門相違の法を遠離すべし。なんらか三種。一つには智恵門に依って自楽を求めず、我が心、自身に貪着することを遠離するがゆえに。二つには慈悲門に依って一切衆生の苦を抜く、無安衆生心を遠離するがゆえに。三つには方便門に依って一切衆生を憐愍して、心、自身を供養し恭敬する心を遠離せるがゆえに。これを三種の菩提門相違の法を遠離すと名づく。
 (第七・順菩提門)菩薩、かくのごとき三種の菩提門相違の法を遠離して、三種の随順菩提門の法満足することを得るがゆえに。なんらか三種。一つには無染清浄心、自身のために諸楽を求めざるをもってのゆえに。二つには安清浄心、一切衆生の苦を抜くをもってのゆえに。三つには楽清浄心、一切衆生をして大菩提を得しむるをもってのゆえに。衆生を摂取してかの国土に生ぜしむるをもってのゆえに。これを三種の随順菩提門の法満足すと名づく。知るべし。
 (第八・名義摂対)向に説きつる智恵と慈悲と方便との三種の門をして般若を摂取す。般若、方便を摂取す。