巻次 信 258頁 表示設定 ブックマーク 表示設定 文字サイズ あ あ あ 書体 ゴシック 明朝 カラー あ あ あ テキスト情報 本文 画像情報 画像情報 本文 「人」とせず、名づけて「畜生」とす。慙愧あるがゆえに、すなわちよく父母・師長を恭敬す。慙愧あるがゆえに、父母・兄弟・姉妹あることを説く。善いかな大王、具に慙愧あり、と。乃至 王の言うところのごとし、よく治する者なけん。大王、当に知るべし。迦毘羅城に浄飯王の子、姓は瞿曇氏、悉達多と字く。師なくして自然に覚悟して、阿耨多羅三藐三菩提を得たまえり、と。乃至 これ仏世尊なり。金剛智ましまして、よく衆生の一切悪罪を破せしむること、もしあたわずと言わば、この処あることなけん、と。乃至 大王。如来、弟提婆達多あり。衆僧を破壊し、仏身より血を出だし、蓮華比丘尼を害す、三逆罪を作れり。如来ために種種の法要を説きたまうに、その重罪をしてすなわち微薄なることを得しめたまう。このゆえに如来を「大良医」とす、六師にはあらざるなり、と。乃至 (虚空よりの声)「大王、一逆を作れば、すなわち具にかくのごとき一罪を受く。もし二逆罪を造らば、すなわち二倍ならん。五逆具ならば、罪もまた五倍ならん、と。大王、今定んで知りぬ。王の悪業、必ず勉るることを得じ。やや願わくは、大王、速やかに仏の所に往ずべし。仏世尊を除きて余は、よく救くることなけん。我今汝を愍れむがゆえに、あい勧めて導くなり」と。その時に大王、この語を聞き已りて、心に怖懼を懐けり。身を挙げて戦慄す、五体掉動して芭蕉樹のごとし。仰ぎて答えて曰わく、「天にこれ誰とかせん、色像を現ぜずしてただ声のみあることは。」「大王、我これ汝が父頻婆沙羅なり。汝今当に耆婆の所説に随うべし。邪見六臣の言に随うことなかれ。」時に聞き已りて、悶絶躃地す。身の瘡増劇して臭穢なること、前よりも倍れり。冷薬をもって塗り瘡を治療すといえども、瘡蒸し。毒熱ただ増せども損ずることなし、と。已上略出 紙面画像を印刷 前のページ p258 次のページ 第二版p293・294へ このページの先頭に戻る