巻次 - 568頁 表示設定 ブックマーク 表示設定 文字サイズ あ あ あ 書体 ゴシック 明朝 カラー あ あ あ テキスト情報 本文 画像情報 画像情報 本文 くおおせらるべし。一念多念のあらそいなんどのように、詮なきこと、論じごとをのみ、もうしあわれてそうろうぞかし。よくよくつつしむべきことなり。あなかしこ、あなかしこ。かようのことを、こころえぬひとびとは、そのこととなきことを、もうしあわれてそうろうぞ。よくよくつつしみたまうべし。かえすがえす。二月三日 親鸞(七) 六月一日の御文、くわしくみそうらいぬ。さては、鎌倉にての、御うったえのようは、おろおろうけたまわりてそうろう。この御文にたがわず、うけたまわりてそうらいしに、別のことは、よもそうらわじとおもいそうらいしに、御くだりうれしくそうろう。おおかたは、このうったえのようは、御身ひとりのことにはあらずそうろう。すべて、浄土の念仏者のことなり。このようは、故聖人の御とき、この身どもの、ようようにもうされそうらいしことなり。こともあたらしきうったえにてそうろうなり。性信坊ひとりの、沙汰あるべきことにはあらず。念仏もうさんひとは、みなおなじこころに、御沙汰あるべきことなり。御身をわらいもうすべきことにはあらずそうろうべし。念仏者のものにこころえぬは、性信坊のとがにもうしなされんは、きわまれるひがごとにそうろうべし。念仏もうさんひとは、性信坊のかたうどにこそ、なりあわせたまうべけれ。母・姉・妹なんど、ようようにもうさるることは、ふるごとにてそうろう。さればとて、念仏をとどめられそうらいしが、世にくせごとのおこりそうらいしかば、それにつけても、念仏をふかくたのみて、世のいのりにこころいれて、もうしあわせたまうべしとぞおぼえそうろう。御文のよう、おおかたの陳状、よく御はからいどもそうらいけり。うれしくそうろう。詮じそうろうところは、御身にかぎらず、念仏もうさんひとびと、わが 紙面画像を印刷 前のページ p568 次のページ 第二版p696・697へ このページの先頭に戻る