巻次
-
696頁
表示設定
ブックマーク
表示設定
文字サイズ
書体
  • ゴシック
  • 明朝
カラー
テキスト情報
本文
画像情報
画像情報
本文

今日までいきてそうらえば、わざとも、これへたずねたまうべし。また、便にも、おおせたまうべし。鹿島・行方、そのならびのひとびとにも、このこころを、よくよくおおせらるべし。一念多念のあらそいなんどのように、詮なきこと、論じごとをのみ、もうしあわれてそうろうぞかし。よくよくつつしむべきことなり。あなかしこ、あなかしこ。
 かようのことを、こころえぬひとびとは、そのこととなきことを、もうしあわれてそうろうぞ。よくよくつつしみたまうべし。かえすがえす。

二月三日     親鸞

(七) 六月一日の御文、くわしくみそうらいぬ。さては、鎌倉にての、御うったえのようは、おろおろうけたまわりてそうろう。この御文にたがわず、うけたまわりてそうらいしに、別のことは、よもそうらわじとおもいそうらいしに、御くだりうれしくそうろう。
 おおかたは、このうったえのようは、御身ひとりのことにはあらずそうろう。すべて、浄土の念仏者のことなり。このようは、故聖人(法然)の御とき、この身どもの、ようようにもうされそうらいしことなり。こともあたらしきうったえにてそうろうなり。性信坊ひとりの、沙汰あるべきことにはあらず。念仏もうさんひとは、みなおなじこころに、御沙汰あるべきことなり。御身をわらいもうすべきことにはあらずそうろうべし。念仏者の、ものにこころえぬは、性信坊のとがにもうしなされんは、きわまれるひがごとにそうろうべし。念仏もうさんひとは、性信坊のかたうどにこそ、