巻次 - 569頁 表示設定 ブックマーク 表示設定 文字サイズ あ あ あ 書体 ゴシック 明朝 カラー あ あ あ テキスト情報 本文 画像情報 画像情報 本文 御身の料は、おぼしめさずとも、朝家の御ため国民のために、念仏をもうしあわせたまいそうらわば、めでとうそうろうべし。往生を不定におぼしめさんひとは、まずわが身の往生をおぼしめして、御念仏そうろうべし。わが身の往生、一定とおぼしめさんひとは、仏の御恩をおぼしめさんに、御報恩のために、御念仏、こころにいれてもうして、世のなか安穏なれ、仏法ひろまれと、おぼしめすべしとぞおぼえそうろう。よくよく御案そうろうべし。このほかは、別の御はからい、あるべしとはおぼえずそうろう。なおなお、とく御くだりのそうろうこそ、うれしくそうらえ。よくよく御こころにいれて、往生一定とおもいさだめられそうらいなば、仏の御恩をおぼしめさんには、ことごとはそうろうべからず。御念仏こころにいれてもうさせたまうべしとおぼえそうろう。あなかしこ、あなかしこ。七月九日 親鸞性信御坊(八) 護念坊のたよりに、教念御坊より、銭二百文、御こころざしのもの、たまわりてそうろう。さきに、念仏のすすめのもの、かたがたの御なかよりとて、たしかにたまわりてそうらいき。ひとびとに、よろこびもうさせたまうべくそうろう。この御返事にて、おなじ御こころにもうさせたまうべくそうろう。さては、この御たずねそうろうことは、まことによき御うたがいどもにてそうろうべし。まず、一念にて往生の業因はたれり、ともうしそうろうは、まことにさるべきことにてそうろうべし。さればとて、一念のほかに念仏をもうすまじきことにはそうらわず。そのようは、『唯信鈔』にくわしくそうろう。よくよく、御覧そうろうべし。 紙面画像を印刷 前のページ p569 次のページ 第二版p697・698へ このページの先頭に戻る