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いらせんとて、十方衆生に回向せられそうろうらんは、さるべくそうらえども、二念三念もうして往生せんひとを、ひがごととはそうろうべからず。よくよく、『唯信鈔』を御覧そうろうべし。念仏往生の御ちかいなれば、一念十念も、往生はひがごとにあらずとおぼしめすべきなり。あなかしこ、あなかしこ。

十二月廿六日     親鸞

教忍御坊御返事
(九) まず、よろずの仏・菩薩をかろしめまいらせ、よろずの神祇・冥道をあなずりすてたてまつるともうすこと、このこと、ゆめゆめなきことなり。世々生々に、無量無辺の諸仏・菩薩の利益によりて、よろずの善を修行せしかども、自力にては生死をいでずありしゆえに、曠劫多生のあいだ、諸仏・菩薩の御すすめによりて、いま、もうあいがたき弥陀の御ちかいに、あいまいらせてそうろう御恩をしらずして、よろずの仏・菩薩をあだにもうさんは、ふかき御恩をしらずそうろうべし。仏法をふかく信ずるひとをば、天地におわしますよろずのかみは、かげのかたちにそえるがごとくして、まもらせたまうことにてそうらえば、念仏を信じたる身にて、天地のかみをすてもうさんとおもうこと、ゆめゆめなきことなり。神祇等だにも、すてられたまわず、いかにいわんや、よろずの仏・菩薩をあだにももうし、おろかにおもいまいらせそうろうべしや。よろずの仏を、おろかにもうさば、念仏を信ぜず、弥陀の御名をとなえぬ身にてこそそうらわんずれ。詮ずるところは、そらごとをもうし、ひがごとをことにふれて、念仏のひとびとにおおせられつけて、念仏をとどめんと、ところの領家・地頭・名主の御はからいどものそうろうらんこと、よくよくようあるべきことなり。そのゆえは、