巻次
巻下
62頁
表示設定
ブックマーク
表示設定
文字サイズ
書体
  • ゴシック
  • 明朝
カラー
テキスト情報
本文
漢文
画像情報
画像情報
本文

らず。恩好を思想して情欲を離れず。昏矇閉塞して愚惑に覆われたり。深く思い熟ら計らい、心自ら端正にして専精に道を行じて世事を決断すること能わず。すなわち旋り、竟りに至る。年寿終わり尽きぬれば道を得ること能わず。奈何とすべきことなし。総猥憒擾してみな愛欲を貪る。道に惑える者は衆く、これを悟る者は寡し。世間悤悤として憀頼すべきことなし。尊卑・上下・貧富・貴賤、勤苦悤務しておのおの殺毒を懐く。悪気窈冥してために妄りに事を興す。天地に違逆して人の心に従わず。自然の非悪、先ず随いてこれを与う。恣に所為を聴してその罪の極まるを待つ。その寿未だ尽きざるに、すなわち頓にこれを奪う。悪道に下り入りて、累世に勤苦す。その中に展転して数千億劫なり。出ずる期あることなし。痛み言うべからず。甚だ哀愍すべし。」
 仏、弥勒菩薩・諸天人等に告げたまわく、「我今、汝に世間の事を語る。人これをもってのゆえに、坐して道を得ず。当に熟ら思い計りて衆悪を遠離すべし。その善の者を択んで勤めてこれを行ぜよ。愛欲栄華常に保つべからず。みな当に別離すべし。楽しむ

漢文

得道。無可奈何。総猥憒擾、皆貪愛欲。惑道者衆、悟之者寡。世間悤悤、無可憀頼。尊卑上下 貧富貴賤、勤苦悤務、各懐殺毒。悪気窈冥、為妄興事。違逆天地、不従人心。自然非悪、先随与之。恣聴所為、待其罪極。其寿未尽、便頓奪之。下入悪道、累世勤苦。展転其中、数千億劫。無有出期。痛不可言。甚可哀愍。
仏告弥勒菩薩 諸天人等。我今語汝世間之事。人用是故、坐不得道。当熟思計、遠離衆悪。択其善者、勤而行之。愛欲栄華、不可常保。皆当別離。無可