巻次 巻下 66頁 表示設定 ブックマーク 表示設定 文字サイズ あ あ あ 書体 ゴシック 明朝 カラー あ あ あ テキスト情報 本文 漢文 画像情報 画像情報 本文 んと欲えり。愛欲に痴惑せられて道徳を達らず。瞋怒に迷没して財色を貪狼す。之に坐して道を得ず。当に悪趣の苦に更るべし。生死、窮まり已むこと無し。哀れなるかな、甚だ傷むべし。或る時は室家・父子・兄弟・夫婦、一は死し一は生ず。更るがわる相哀愍す。恩愛思慕して憂念結縛す。心意痛著して迭いに相顧恋す。日を窮め歳を卒えて、解け已むこと有ること無し。道徳を教語するに、心開明ならず。恩好を思想して情欲を離れず。昏矇閉塞して愚惑に覆われたり。深く思い熟つら計らい、心自ら端正にして、専精に道を行じて世事を決断すること能わず。便ち旋り、竟に至る。年寿終り尽きぬれば、道を得ること能わず。奈何とすべきこと無し。総猥憒擾して皆愛欲を貪る。道に惑える者は衆く、之を悟る者は寡なし。世間悤悤として憀頼すべきこと無し。尊卑・上下・貧富・貴賤、勤苦悤務して各おの殺毒を懐く。悪気窈冥して為に妄りに事を興す。天地に違逆して人の心に従わず。自然の非悪、先ず随いて之を 漢文 卒歳。無有解已。教語道徳。心不開明。思想恩好。不離情欲。昏矇閉塞。愚惑所覆。不能深思熟計◦心自端正◦専精行道◦決断世事。便旋至竟。年寿終尽。不能得道。無可奈何。総猥憒擾。皆貪愛欲。惑道者衆。悟之者寡。世間悤悤。無可憀頼。尊卑上下。貧富貴賤。勤苦悤務。各懐殺毒。悪気窈冥。為妄興事。違逆天地。不従人心。自然非悪。先随与之。恣聴所為。待其罪極。其寿未尽。便頓奪之。下入悪道。累世勤苦。展転其中。数千億劫。無有出期。痛不可言。甚可哀愍。 紙面画像を印刷 前のページ p66 次のページ 初版p61・62へ このページの先頭に戻る