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えば、こまかならず候う。又、この衛門入道殿の御言葉かけられまいらせて候うとて、喜び申し候う也。この便は確かに候えば、何事もこまかに仰せられ候うべし。あなかしこ
 善悪、それへのとの人どもは、もと候いし袈裟と申すも、娘失せ候いぬ。いま、それの娘一人候う。母奴も、所労ものにて候う。さて、弟法師と申し候いしは、男になりて、とう四郎と申すと、又、女の童のふたばと申す女の童、今年は十六になり候う女の童は、それへ参らせよと申して候う也。なにごとも、御文に尽くしがたく候いて止め候いぬ。又、もとよりのことり、七子養わせて候う。

五月十三日     (花押)

(九) 便を喜びて申し候う。さては、昨年の八月のころより、とけ腹の煩わしく候いしが、ことにふれて、よくもなり得ず候うばかりぞ、煩わしく候えども、そのほかは、年の故にて候えば、今は耄れて、正体なくこそ候え。今年は、八十六になり候うぞかし、寅の年のものにて候えば。又、それへ参らせて候いし奴ばらも、とかくなり候いて、ことりと申し候う年来の奴にて、三郎太と申し候いしが相具して候うが、入道になり候いて、さいしんと申し候う。入道めにはちあるものの中の、右馬の丞とかや申して御家人にて候うものの娘の、今年は十やらんになり候うを、母は世におだしく愛く候いし、加賀と申して使い候いしが、一年の温病の年、死にて候う。親も候わねば、ことりも子なきものにて□。時にあずけて候う也。それ、又、袈裟と申し候いし娘の、なでしと申し候いしが、世によく候いしも、温病に失せ候いぬ。その母の候うも、年来、頭に腫ものの年来候いしが、それもたふし□□にて、頼みなきと申し候う。その娘一人候うは、今年は二十になり候う。