巻次
-
895頁
表示設定
ブックマーク
表示設定
文字サイズ
書体
  • ゴシック
  • 明朝
カラー
テキスト情報
本文
画像情報
画像情報
本文

215一 蓮如上人、幼少なる者には、まず、「物をよめ」と、仰せられ候う。また、その後は、「いかによむとも、復せずは、詮あるべからざる」由、仰せられ候う。ちとこころもつき候えば、「いかに物をよみ、声をよくよみしりたるとも、義理をわきまえてこそ」と、仰せられ候う。その後は、「いかに文釈をおぼえたりとも、信がなくはいたずらごとよ」と、仰せられ候う。
216一 心中のとおりを、ある人、法敬坊に申され候う。「御詞の如くは覚悟仕り候えども、ただ、油断・不沙汰にて、あさましきことのみに候う」と、申され候う。その時、法敬坊、申され候う。「それは、御詞のごとくにてはなく候う。勿体なき申され事に候う。御詞には、「油断・不沙汰な仕りそ」とこそ、あそばされ候え」と、申され候うと云々
217一 法敬坊に、ある人、不審申され候う。「これほど仏法に御心をもいれられ候う法敬坊の、尼公の不信なる、いかがの義に候う」由、人、申し候えば、法敬坊、申され候う。「不審、さることなれども、これほど、朝夕、『御文』をよみ候うに、驚き申さぬ心中が、なにか法敬が申し分にて聞き入れ候うべき」と、申され候うと云々
218一 順誓、申され候う。「仏法の物語申すに、かげにて申し候う段は、なにたるわろき事をか申すべきと存じ、脇より汗たり申し候う。前々住上人、聞こし召す所にて、申す時は、わろき事をば、やがて御なおしあるべきと、存じ候うあいだ、心安く存じ候いて、物をも申さるる」由に候う。
219一 「信のうえには、さのみわろき事は、有るまじく候う。あるいは、人の云い候う、などとて、あしき事