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候う。御前の人、申され候う。「さる御方の、御折檻候う」と、申され候う。その時、御機嫌、もってのほか悪しく候いて、仰せられ候う。「開山聖人の御門徒を、さようにいう者は、あるべからず。御身一人、聊爾には思し召さぬものを、なにたるものがいうべきぞ」と、「「とくとくのぼれ」と、いえ」と、仰せられ候うと云々
295一 前々住上人、仰せられ候う。「御門徒衆を、あしく申す事、ゆめゆめ、あるまじきなり。開山は、御同行・御同朋と、御かしずき候うに、聊爾に存ずるは、くせごと」の由、仰せられ候う。
296一 「開山聖人の、一大事の御客人と申すは、御門徒衆のことなり」と、仰せられしと云々
297一 御門徒衆、上洛候えば、前々住上人、仰せられ候う。寒天には、御酒等のかんをよくさせて、「路次のさむさをも忘られ候う様に」と、仰せられ候う。また、炎天の時は、「酒などひやせ」と、仰せられ候う。御詞を和らげられ候う。また、「御門徒の上洛候うを、遅く申し入れ候う事、くせごと」と、仰せられ候う。「御門徒衆をまたせ、おそく対面すること、くせごと」の由、仰せられ候うと云々
298一 万事に付けて、よき事を思い付けるは、御恩なり。悪事だに思い付きたるは、御恩なり。捨つるも取るも、何れも、何れも、御恩なりと云々
299一 前々住上人は、御門徒の進上の物をば、御衣の下にて、御おがみ候う。また、仏物と思し召し候えば、御自身のめし物までも、御足にあたり候えば、御いただき候う。「御門徒の進上の物、すなわち、聖人よりの御あたえと、思し召し候う」と、仰せられ候いしと云々