巻次 - 964頁 表示設定 ブックマーク 表示設定 文字サイズ あ あ あ 書体 ゴシック 明朝 カラー あ あ あ テキスト情報 本文 画像情報 画像情報 本文 五つに曰わく、餮を絶ち欲することを棄てて、明らかに訴訟を弁めよ。其れ百姓の訟、一日に千事あり。一日すらもなおしかるを、いわんや歳を累ねてをや。頃訟を治むる者、利を得て常とし、賄を見ては讞すを聴く。すなわち財有るものが訟は、石をもて水に投ぐるが如し。乏しき者の訴は、水をもて石に投ぐるに似たり。是をもって貧しき民は、所由を知らず。臣の道また焉に闕けぬ。 六つに曰わく、悪しきことを懲らし善を勧むるは、古の良き典なり。是をもって人の善を匿すこと無く、悪しきことを見ては必ず匡せ。其れ諂い詐く者は、国家を覆えす利き器なり、人民を絶つ鋒き剣なり。また佞み媚ぶる者、上に対いては好みて下の過りを説き、下に逢いては上の失ちを誹謗る。其れ如此の人、皆君に忠しさ無く、民に仁無し。是れ大きなる乱れの本なり。 七つに曰わく、人おのおの任し有り。掌ること濫れざるべし。其れ賢哲、官に任すときは、頌むる音すなわち起こる。姧しき者、官を有つときは、禍い乱れすなわち繁し。世に生まれながら知るひと少なし。剋く念いて聖と作る。事に大きなり少き無く、人を得て必ず治まらん。時に急き緩きこと無し。賢しひとに遇いて自ずから寛かなり。此れに因りて国家永久にして、社禝危うからず。かれ、古の聖の王、官の為に人を求めて、人の為に官を求めず。 八つに曰わく、群卿百寮、早く朝りて晏く退でよ。公の事盬靡し。終日に尽くし難し。是をもって、遅く朝るときは急きに逮ばず。早く退ずるときは必ず事尽きず。 九つに曰わく、信は是れ義の本なり。事毎に信有るべし。其れ善さ悪しさ成敗、要ず信に在り。群臣 紙面画像を印刷 前のページ p964 次のページ 第二版p1156・1157へ このページの先頭に戻る