巻下
62頁
表示設定
ブックマーク
表示設定
- あ
- あ
- あ
- ゴシック
- 明朝
- あ
- あ
- あ
テキスト情報
本文
漢文
画像情報
画像情報
行して道徳を求めざらん。極長生を獲べし。寿楽極まり有ること無し。
然るに世人、薄俗にして共に不急の事を諍う。此の劇悪極苦の中に於いて、身の営務を勤めて、以て自ら給済す。尊も無く卑も無し。貧も無く富も無し。少長男女、共に銭財を憂う。有無同然なり。憂思適に等し。屛営愁苦して、念を累ね慮を積みて、心の為に走せ使いて、安き時有ること無し。田有れば田を憂う。宅有れば宅を憂う。牛馬六畜・奴婢・銭財・衣食・什物、復た共に之を憂う。思を重ね息を累みて、憂念を愁怖す。横に非常の水火・盗賊・怨家・債主の為に焚漂劫奪せられ、消散し磨滅す。憂毒忪忪として解くる時有ること無し。憤を心中に結びて憂悩を離れず。心堅く意固く、適に縦捨すること無し。或いは摧砕に坐して、身亡び命終れば、之を棄捐して去りぬ。誰も随う者莫し。尊貴豪富も亦斯の患有り。憂懼万端にして、勤苦、此くの若し。衆の寒熱を結びて痛と共に居す。
可獲極長生。寿楽無有極。然世人薄俗。共諍不急之事。於此劇悪◦極苦之中。勤身営務。以自給済。無尊無卑。無貧無富。少長男女。共憂銭財。有無同然。憂思適等。屛営愁苦。累念積慮。為心走使。無有安時。有田憂田。有宅憂宅。牛馬六畜。奴婢銭財。衣食什物。復共憂之。重思累息。憂念愁怖。横為非常◦水火盗賊◦怨家債主。焚漂劫奪。消散磨滅。憂毒忪忪。無有解時。結憤心中。不離憂悩。心堅意固。適無縦捨。或坐摧砕。身亡命終。棄捐之去。莫誰随者。尊貴豪富。亦有斯患。憂懼万端。勤苦若此。結衆寒熱。与痛共居。貧窮下劣。困乏常無。無田亦憂◦欲有
