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一念多念文意

一念をひがごととおもうまじき事

 「恒願一切臨終時 勝縁勝境 悉現前」(往生礼讃)というは、「恒」は、つねにという。「願」は、ねがうというなり。いま、つねにというは、たえぬこころなり。おりにしたごうて、ときどきもねがえというなり。いま、つねにというは、常の義にはあらず。常というは、つねなること、ひまなかれというこころなり。ときとしてたえず、ところとしてへだてず、きらわぬを常というなり。「一切臨終時」というは、極楽をねがうよろずの衆生、いのちおわらんときまでということばなり。「勝縁勝境」というは、仏をもみたてまつり、ひかりをもみ、異香をもかぎ、善知識のすすめにもあわんとおもえとなり。「悉現前」というは、さまざまのめでたきことども、めのまえにあらわれた