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垂迹興法の願をあらわさんがために、本地の尊容をしめすところなり。抑も又、大師聖人 源空 もし流刑に処せられたまわずは、われ又、配所に赴かんや。もしわれ配所におもむかずは、何によりてか辺鄙の群類を化せん。これ猶師教の恩致なり。大師聖人すなわち勢至の化身、太子また観音の垂迹なり。このゆえにわれ、二菩薩の引導に順じて如来の本願をひろむるにあり。真宗、茲れに因って興じ、念仏、斯れに由りて煽なり。是れ併しながら聖者の教誨によりて、更に愚昧の今案をかまえず。かの二大士の重願、ただ一仏名を専念するにたれり。いまの行者、あやまりて脇士に仕うることなかれ、ただちに本仏をあおぐべし」と云々 かるがゆえに聖人 親鸞 かたわらに皇太子を崇めたまう。蓋し斯れ、仏法弘通の浩なる恩を謝せんがためなり。

(絵)

 建長八歳 丙辰 二月九日の夜寅の時、釈の蓮位夢想の告に云わく、「聖徳太子、親鸞聖人を礼したてまつりましましてのたまわく、「敬礼大慈阿弥陀仏 為妙教流通来生者 五濁悪時悪世界中 決定即得無上覚也」」 しかれば祖師聖人、弥陀如来の化現にてましますという事、明らかなり。

(絵)

康永第二載 癸未 応鐘中旬比、終画図篇訖。