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もかくのごとくせん。五種の不思議の中に、仏法最も不可思議なり。もし「菩薩必ず一地より一地に至りて、超越の理なし」と言わば、未だ敢えて詳らかならざるなり。譬えば樹あり、名づけて好堅と曰う。この樹、地より生じて百歳ならん。いまし具に一日に長高なること百丈なるがごとし。日日にかくのごとし。百歳の長を計るに、あに修松に類せんや。松の生長するを見るに、日に寸を過ぎず。かの好堅を聞きて、何ぞよく即日を疑わざらん。人ありて、釈迦如来、羅漢を一聴に証し、無生を終朝に制すとのたまえるを聞きて、これ接誘の言にして、称実の説にあらずと謂えり。この論事を聞きて、また当に信ぜざるべし。それ非常の言は常人の耳に入らず。これをしからずと謂えり。またそれ宜しかるべきなり。「略して八句を説きて、如来の自利利他の功徳荘厳、次第に成就したまえるを示現したまえるなりと、知るべし」(論)。これはいかんが次第なるとならば、前の十七句は、これ荘厳国土の功徳成就なり。既に国土の相を知んぬ。国土の主を知るべし。このゆえに次に仏荘厳功徳を観ず。かの仏もし荘厳をなして、いずれの処にしてか座すると。このゆえにまず座を観ずべし。既に座を知りぬ。すでに宜しく座主を知るべし。このゆえに次に仏、身業を荘厳したまえるを観ず。既に身業を知りぬ。いかなる声名かましますと知るべし。このゆえに次に仏、口業を荘厳したまえるを観ず。既に名聞を知りぬ。宜しく得名の所以を知るべし。このゆえに次に仏の心業を荘厳したまえるを観ず。既に三業具足したまえるを知りぬ。人天の大師となって化を受くるに堪えたる者は、これ誰ぞと知るべし。このゆえに次に大衆の功徳を観ず。既に大衆、無量の功徳いますことを知りぬ。宜しく上首は誰ぞと知るべし。このゆえに次に上首を観ず。上首はこれ仏なり。既に上首恐らくは長幼に同じきことを知りぬ。このゆえに次に主を