巻次
真仏土
308頁
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具足荘厳して、仏性を見ることを得ん。このゆえに我、仏性未来と言えりと。善男子、あるいは衆生のために、ある時は因を説きて果とす。ある時は果を説きて因とす。このゆえに『経』の中に命を説きて食とす。色を見て触と名づく。未来の身浄なるがゆえに仏性と説く。」「世尊、仏の所説の義のごとし。かくのごときの者、なにがゆえぞ説きて、「一切衆生悉有仏性」と言えるや」と。「善男子、衆生の仏性は現在に無なりといえども、無と言うべからず。虚空のごとし。性は無なりといえども、現在に無と言うことを得ず。一切衆生また無常なりといえども、しかもこれ仏性は常住にして変なし。このゆえに我この『経』の中において、「衆生の仏性は非内非外にして、なお虚空のごとし」と説きたまう。非内非外にして、それ虚空のごとくして有なり。内外は虚空なれども、名づけて一とし常とせず。また一切処有と言うことを得ず。虚空はまた非内非外なりといえども、しかれどももろもろの衆生ことごとくみなこれあり。衆生の仏性もまたかくのごとし。汝言うところの一闡提の輩のごとし、もし身業・口業・意業・取業・求業・施業・解業かくのごときらの業あれども、ことごとくこれ邪業なり。何をもってのゆえに、因果を求めざるがゆえなりと。善男子、訶梨勒の果、根・茎・枝・葉・華・実、ことごとく苦きがごとし。一闡提の業もまたかくのごとし。」已上
 また言わく、善男子、如来は知諸根力を具足したまえり。このゆえに善く衆生の上・中・下の根を解り分別して、能くこの人を知ろしめして下を転じて中と作す、能くこの人を知ろしめして中を転じて上と作す、能くこの人を知ろしめして上を転じて中と作す、能くこの人を知ろしめして中を転じて下と作す。このゆえに当に知るべし、衆生の根性に決定あることなし。定なきをもってのゆえに、あるいは善根を断ず、断じ已りて還り