巻次
真仏土
321頁
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 (序分義)また云わく、「我今楽生弥陀」より已下は、正しく夫人別して所求を選ぶことを明かす。これは弥陀の本国四十八願なることを明かす。願願みな増上の勝因を発せり。因に依って勝行を起こせり。行に依って勝果を感ず。果に依って勝報を感成せり。報に依って極楽を感成せり。楽に依って悲化を顕通す。悲化に依って智慧の門を顕開せり。しかるに悲心無尽にして智また無窮なり。悲・智双べ行じて、すなわち広く甘露を開けり。これに因って法潤普く群生を摂したまうなり。諸余の経典に勧むるところ弥く多し。衆聖、心を斉しくしてみな同じく指讃したまう。この因縁ありて、如来密に夫人を遣わして別して選ばしめたまうことを致すなり。
 (定善義)また云わく、西方寂静無為の楽は、畢竟逍遙して有無を離れたり。大悲、心に薫じて法界に遊ぶ。分身して物を利すること等しくして殊なることなし。帰去来、魔郷には停まるべからず。曠劫よりこのかた六道に流転して、ことごとくみな径たり。到る処に余の楽なし、ただ愁歎の声を聞く。この生平を畢えて後、かの涅槃の城に入らん、と。
 (法事讃)また云わく、極楽は無為涅槃の界なり。随縁の雑善、恐らくは生まれがたし。かるがゆえに如来、要法を選びて、教えて弥陀を念ぜしめて、専らにしてまた専らならしめたまえり。
 また云わく、仏に従いて逍遙して自然に帰す。自然はすなわちこれ弥陀の国なり。無漏無生還りてすなわち真なり。行来進止に常に仏に随いて、無為法性身を証得す、と。
 また云わく、弥陀の妙果をば号して無上涅槃と曰う、と。已上抄出