巻次 化本 354頁 表示設定 ブックマーク 表示設定 文字サイズ あ あ あ 書体 ゴシック 明朝 カラー あ あ あ テキスト情報 本文 画像情報 画像情報 本文 常に三種の善調御をもってのゆえなり。何等をか三とする。一つには畢竟軟語、二つには畢竟呵責、三つには軟語呵責なり。この義をもってのゆえに、菩薩・諸仏はすなわちこれ真実の善知識なり。また次に善男子、仏および菩薩を大医とするがゆえに、「善知識」と名づく。何をもってのゆえに。病を知りて薬を知る、病に応じて薬を授くるがゆえに。たとえば良医の善き八種の術のごとし。まず病相を観ず。相に三種あり。何等をか三とする。いわく風・熱・水なり。風病の人にはこれに蘇油を授く。熱病の人にはこれに石蜜を授く。水病の人にはこれに薑湯を授く。病根を知るをもって、薬を授くるに差ることを得、かるがゆえに「良医」と名づく。仏および菩薩またかくのごとし。もろもろの凡夫の病を知るに三種あり。一つには貪欲、二つには瞋恚、三つには愚痴なり。貪欲の病には教えて骨相を観ぜしむ。瞋恚の病には慈悲相を観ぜしむ。愚痴の病には十二縁相を観ぜしむ。この義をもってのゆえに、諸仏・菩薩を「善知識」と名づく。善男子、たとえば船師の善く人を度すがゆえに「大船師」と名づくるがごとし。諸仏・菩薩もまたかくのごとし。もろもろの衆生をして生死の大海を度す。この義をもってのゆえに「善知識」と名づく、と。抄出 『華厳経』(唐訳・入法界品)に言わく、汝、善知識を念ずるに、我を生める、父母のごとし。我を養う、乳母のごとし。菩提分を増長す、衆疾を医療するがごとし。天の、甘露を灑ぐがごとし。日の、正道を示すがごとし。月の、浄輪を転ずるがごとし。 また言わく、如来大慈悲、世間に出現して、普くもろもろの衆生のために、無上法輪を転じたまう。如来、無数劫に勤苦せしことは衆生のためなり。いかんぞもろもろの世間、よく大師の恩を報ぜん、と。已上 紙面画像を印刷 前のページ p354 次のページ 第二版p415・416へ このページの先頭に戻る