巻次
-
465頁
表示設定
ブックマーク
表示設定
文字サイズ
書体
  • ゴシック
  • 明朝
カラー
テキスト情報
本文
漢文
画像情報
画像情報
本文

淤泥華というは『経』(維摩経)に説いて言わく、「高原の陸地に蓮を生ぜず、
卑湿淤泥に蓮華を生ず。」これは凡夫、煩悩の泥の中にありて、
仏の正覚の華を生ずるに喩うるなり。 これは如来の本弘誓 
不可思議力をしめす、すなわちこれ、入出二門を他力と名づくとのたまえり。
道綽禅師 玄忠寺
道綽和尚解釈して曰わく、『大集経』に言わく「我が末法に
行を起こし道を修せん一切衆、未だ一人も獲得の者あらじと。
此にありて心を起こし行を立てん者は、すなわちこれ聖道なり、自力と名づく。
当今は末法にしてこれ五濁なり、ただ浄土ありて通入すべし」と。
今の時、悪を起こし衆罪を造ること、恒常にして暴風駛雨のごとし。
本弘誓願に名を称せしむるは、これ穢濁悪の衆生のためなり、
ここをもって諸仏、浄土を勧めたまえり。たとい一生悪を造る者、
三信相応せんは、これ一心なり。一心は淳心なれば如実と名づく。
もし生まれずは、この処なけん。必ず安楽国に往生を得れば、
生死すなわちこれ大涅槃なり、すなわち易行道なり、他力と名づくとのたまえり。

漢文

淤泥華者経説言 高原陸地不生蓮
卑湿淤泥生蓮華 此喩凡夫在煩悩
泥中生仏正覚華 斯示如来本弘誓
不可思議力即是 入出二門名他力
道綽禅師 玄忠寺
道綽和尚解釈曰 大集経言我末法
起行修道一切衆 未有一人獲得者
在此起心立行者 則此聖道名自力
当今末法是五濁唯有浄土可通入
今時起悪造衆罪恒常如暴風駛雨
本弘誓願令称名 是為穢濁悪衆生
是以諸仏勧浄土縦令一生造悪者
三信相応是一心一心淳心名如実
若不生者無是処必得往生安楽国
生死即是大涅槃則易行道名他力