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らず無上涅槃のさとりをひらくたねともうすなり。「称名必得生 依仏本願故」というは、御名を称するは、かならず安楽浄土に往生をうるなり。仏の本願によるがゆえなり、とのたまえり。またいわく、「当知生死之家」というは、当知は、まさにしるべしとなり。生死之家は、生死のいえというなり。「以疑為所止」というは、大願業力の不思議をうたがうこころをもって、六道四生・二十五有・十二類生にとどまるとなり。いまにひさしく世にまようとしるべしとなり。「涅槃之城」ともうすは、安養浄刹をいうなり。これを涅槃のみやことはもうすなり。「以信為能入」というは、真実信心をえたる人の如来の本願の実報土によくいるとしるべしとのたまえるみことなり。信心は菩提のたねなり。無上涅槃をさとるたねなりとしるべしとなり。
 法印聖覚和尚の銘文
 「夫根有利鈍者 教有漸頓。機有奢促者 行有難易。当知聖道諸門漸教也 又難行也。浄土一宗者頓教也 又易行也。所謂真言止観之行 獼猴情難学。三論法相之教 牛羊眼易迷。然至我宗者 弥陀本願 定行因於十念 善導料簡 決器量於三心。雖非利智精進 専念実易勤。雖非多聞広学 信力何不備 乃至 然我大師聖人 為釈尊之使者 弘念仏一門。為善導之再誕 勧称名一行。専修専念之行 自此漸弘 無間無余之勤 在今始知。然則破戒罪根之輩 加肩入往生之道 下智浅才之類 振臂赴浄土之門。誠知 無明長夜之大燈炬也 何悲智眼闇。生死大海之大船筏也 豈煩業障重。」略抄
 「夫根有利鈍者」というは、それ衆生の根性に利鈍ありとなり。利というは、こころのとき人なり。鈍というは、こころのにぶき人なり。「教有漸頓」というは、衆生の根性にしたごうて仏教に漸頓ありとなり。漸は、