巻次 - 561頁 表示設定 ブックマーク 表示設定 文字サイズ あ あ あ 書体 ゴシック 明朝 カラー あ あ あ テキスト情報 本文 画像情報 画像情報 本文 いよなりあわせたまいそうろうらんと、ききそうろうこそあさましくそうらえ。まず、おのおの御こころえは、むかしは弥陀のちかいをもしらず、阿弥陀仏をももうさずおわしましそうらいしが、釈迦・弥陀の御方便にもよおされて、いま弥陀のちかいをもききはじめておわします身にてそうろうなり。もとは、無明のさけにえいふして、貪欲・瞋恚・愚痴の三毒をのみ、このみめしおうてそうらいつるに、仏の御ちかいをききはじめしより、無明のえいも、ようようすこしずつさめ、三毒をもすこしずつこのまずして、阿弥陀仏のくすりをつねにこのみめす身となりておわしましおうてそうろうぞかし。しかるに、なお無明のえいもさめやらぬに、かさねてえいをすすめ、毒もきえやらぬに、なお三毒をすすめられそうろうらんこそ、あさましくおぼえそうらえ。煩悩具足の身なれば、こころにもまかせ、身にもすまじきことをもゆるし、口にもいうまじきことをもゆるし、こころにもおもうまじきことをもゆるして、いかにもこころのままにあるべしともうしおうてそうろうらんこそ、かえすがえす不便におぼえそうらえ。えいもさめぬさきに、なおさけをすすめ、毒もきえやらぬものに、いよいよ毒をすすめんがごとし。くすりあり毒をこのめ、とそうろうらんことは、あるべくもそうらわずとぞおぼえそうろう。仏のちかいをもきき、念仏ももうして、ひさしうなりておわしまさんひとびとは、この世のあしきことをいとうしるし、この身のあしきことをいといすてんとおぼしめすしるしもそうろうべしとこそおぼえそうらえ。はじめて仏のちかいをききはじむるひとびとの、わが身のわるく、こころのわるきをおもいしりて、この身のようにてはいかが往生せんずるというひとにこそ、煩悩具したる身なれば、わがこころのよしあしをば沙汰せず、むかえたまうぞとはもうしそうらえ。かくききてのち、 紙面画像を印刷 前のページ p561 次のページ 第二版p688・689へ このページの先頭に戻る