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るか。まず『大乗同性経』にいわく、「浄土中成仏悉是報身 穢土中成仏悉是化身」文。この文を依憑として、大師、報身報土の義を成ぜらるるに、この「世」の字をおきては、すこぶる義理浅近なるべしと、おぼしめさるるか。そのゆえは、浄土中成仏の弥陀如来につきて、いま世にましましてと、この文を訓ぜば、いますこし義理いわれざるか。極楽世界とも釈せらるるうえは、「世」の字、いかでか報身報土の義にのくべきと、おぼゆる篇もあれども、さればそれも、自宗におきて浅近のかたを釈せらるるときの一往の義なり。おおよそ、諸宗におきて、おおくはこの字を浅近のときもちいつけたり。まず『倶舎論』の性相 世間品 に「安立器世間 風輪最居下」とら判ぜり。器世間を建立するとき、この字をもちいる条、分明なり。世親菩薩の所造、もっともゆえあるべきをや、勿論なり。しかるに、わが真宗にいたりては、善導和尚の御こころによるに、すでに報身報土の廃立をもって規模とす。しかれば「観彼世界相 勝過三界道」(浄土論)の論文をもっておもうに、三界の道に勝過せる報土にして正覚を成ずる弥陀如来のことをいうとき、世間浅近の事にもちいならいたる「世」の字をもって、いかでか義を成ぜらるべきや。この道理によりて、いまの一字を略せらるるかとみえたり。されば彼仏今現在成仏とつづけて、これを訓ずるに、かの仏、いま現在して成仏したまえり、と訓ずれば、はるかにききよきなり。義理といい、文点といい、この一字、もっともあまれるか。この道理をもって、両祖の御相伝を推験して、八宗兼学の了然上人 ことに三論宗 に、いまの料簡を談話せしに、浄土真宗におきてこの一義相伝なしといえども、この料簡もっとも同ずべしと云々
11一 助業をなおかたわらにしまします事。