巻次 - 905頁 表示設定 ブックマーク 表示設定 文字サイズ あ あ あ 書体 ゴシック 明朝 カラー あ あ あ テキスト情報 本文 画像情報 画像情報 本文 263一 同じく仰せに云わく、「雨もふり、また、炎天の時分は、つとめ、ながながしく仕候わで、はやく仕て、人をたたせ候うが、よく候う」由、仰せられ候う。これも、御慈悲にて、人々を御いたわり候う大慈大悲の、御あわれみに候う。常々の仰せには、「御身は、人に御したがい候いて、仏法を御すすめ候う」と、仰せられ候う。御門徒の身にて、御意のごとくならざること、中々あさましき事ども、中々、申すもことおろかに候う、との儀に候う。264一 将軍家 義尚 よりの義にて、加州一国の一揆、御門徒を、はらいかるべき、との義にて、加州居住候う御兄弟衆をも、めしあげられ候う。そのとき、前々住上人、仰せられ候う。「加州の衆を、門徒放すべきと、仰せ出だされ候うこと、御身をきらるるよりもかなしく思し召し候う。何事をもしらざる尼入道の類のことまで思し召すは、何とも、御迷惑此の事に極まる」由、仰せられ候う。御門徒をやぶらるる、と申すことは、一段、善知識の御うえにても、かなしく思し召し候う事に候う。265一 蓮如上人、仰せられ候う。「御門徒衆の、はじめて物をまいらせ候うを、他宗に出だし候う義、あしく候う。一度も二度も受用せしめ候いて、出だし候いて、しかるべき」由、仰せられ候う。かくのごとくの子細は、存じもよらぬ事にて候う。いよいよ、仏法の御用御恩を、おろそかに存ずべきことにてはなく候う。驚き入り候う、との事に候う。266一 法敬坊、大坂殿へ下られ候うところに、前々住上人、仰せられ候う。「御往生候うとも、十年はいくべし」と仰せられ候う処に、「なにか」と、申されけれども、おしかえし、「いくべし」と、仰せられ候う処に、 紙面画像を印刷 前のページ p905 次のページ 第二版p1080・1081へ このページの先頭に戻る