巻次 - 1089頁 表示設定 ブックマーク 表示設定 文字サイズ あ あ あ 書体 ゴシック 明朝 カラー あ あ あ テキスト情報 本文 画像情報 画像情報 本文 (306)一 存覚は大勢至の化身なりと云々 然るに、『六要抄』には、あるいは三心の字訓そのほか、「勘得せず」とあそばし、「聖人の宏才、仰ぐべし」と候う。権化にて候えども、聖人の御作分を、かくのごとくあそばし候う。誠に聖意はかりがたきむねをあらわし、自力をすてて他力を仰ぐ御本意にも叶い申し候う物をや。かようのことが明誉にて御入り候うと云々(307)一 註を御あらわし候う事、御自身の智解を御あらわし候わんがためにてはなく候う。御ことばを褒美のため、仰崇のためにて候うと云々(308)一 存覚御辞世の御詠に云わく、「今ははや 一夜の夢と なりにけり ゆききあまたの かりのやどやど」 此の言を、蓮如上人、仰せられ候うと云々 「さては釈迦の化身なり。往来娑婆の心なり」と云々 「我が身にかけてこころえば、六道輪回、めぐりめぐりて、今、臨終の夕べ、さとりをひらくべしという心なり」と云々(309)一 陽気・陰気とてあり。されば、陽気をうくる花は、はやくひらくなり。陰気とて、日陰の花は、おそくさくなり。かように、宿善も遅速あり。されば、已今当の往生あり。弥陀の光明にあいて、はやくひらくる人もあり。遅くひらくる人もあり。とにかくに、信・不信、ともに仏法を心に入れて、聴聞申すべきなりと云々 已今当の事、前々住上人(蓮如)、仰せられ候うと云々 「きのうあらわす人もあり。きょうあらわす人もあり。あすあらわす人もあり」と仰せられしと云々(310)一 蓮如上人、御廊下を御とおり候いて、紙切のおちて候いつるを御覧ぜられ、「仏法領の物 紙面画像を印刷 前のページ p1089 次のページ 初版p912・913へ このページの先頭に戻る