巻次 信 247頁 表示設定 ブックマーク 表示設定 文字サイズ あ あ あ 書体 ゴシック 明朝 カラー あ あ あ テキスト情報 本文 画像情報 画像情報 本文 の法に藉れ。少しき功労を用いるに、多く益を得ればなりと。 又、一切往生人等に白さく、今更に行者の為に一の譬喩〔「喩」の字 さとす。〕を説きて、信心を守護して、以て外邪異見の難を防がん。何者か是れや。譬えば、人有りて西に向かいて行かんと欲するに百千の里ならん。忽然として中路に二の河有り。一には是れ火の河、南に在り、二には是れ水の河、北に在り。二河各おの闊さ百歩、各おの深くして底無し。南北、辺無し。正しく水火の中間に一の白道有り。闊さ四五寸許りなるべし。此の道、東の岸より西の岸に至るに、亦長さ百歩、其の水の波浪、交わり過ぎて道を湿す。其の火焰〔「焰」 けむりあるなり。「炎」 けむりなきほのおなり。〕、亦来たりて道を焼く。水火、相交わりて、常にして休息無けん。此の人、既に空曠の迥かなる処に至るに、更に人物無し。多く群賊・悪獣有りて、此の人の単独なるを見て、競い来たりて此の人を殺せんと欲す。死を怖れて、直ちに走りて西に向かうに、忽然として此の大河を見て、即ち自ら念言すらく、「此の河、南北、辺畔を見ず。中間に一の白道を見る。極めて是れ狭少なり。二の岸、相去ること近しと雖も、何に由りてか行くべき。今日、定んで死せんこと疑わず。 紙面画像を印刷 前のページ p247 次のページ 初版p219へ このページの先頭に戻る