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恥ずべし、傷むべしと。

 夫れ、仏、難治の機を説きて、『涅槃経』(現病品)に言わく、「迦葉。世に三人有り、其の病、治し難し。一には謗大乗、二には五逆罪、三には一闡提なり。是くの如きの三病、世の中に極重なり。悉く声聞・縁覚・菩薩の、能く治する所に非ず。善男子。譬えば、病有れば必ず死するに治無からんに、若し瞻病・随意の医薬有らんが如し。若し瞻病・随意の医薬無からん。是くの如きの病、定んで治すべからず。当に知るべし、是の人、必ず死せんこと疑わずと。善男子。是の三種の人、亦復是くの如し。仏・菩薩に従いて聞治を得已りて、即便ち能く阿耨多羅三藐三菩提心を発せん。若し声聞・縁覚・菩薩有りて、或いは法を説き、或いは法を説かざる有らん。其れをして阿耨多羅三藐三菩提心を発せしむること能わず」と。已上
 又言わく(梵行品)、「爾の時に王舎大城に阿闍世王あり。其の性弊悪にして、善く殺戮を行ず。口の四悪・貪・恚・愚痴を具して、其の心熾盛なり。乃至 而るに眷属の為に現世の五欲の楽に貪著するが故に、父の王、辜無きに横に逆害を加す。父を害するに因りて、己が心に悔熱を生ず。乃至 心、悔熱するが故に遍体に瘡を生ず。其の瘡、臭穢にして附近すべからず。尋ち自ら念言すらく、「我今、此の身に已に華報を受けたり。地獄の果報、将に近づきて遠からずとす。」
 爾の時に、其の母韋提希后、種種の薬を以て、為に之を塗る。其の瘡、遂に増すれども降損有ること無し。王即ち母に白さく、「是くの如きの瘡は心よりして生ぜり。四大より起これるに非ず。

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