巻次 信 287頁 表示設定 ブックマーク 表示設定 文字サイズ あ あ あ 書体 ゴシック 明朝 カラー あ あ あ テキスト情報 本文 画像情報 画像情報 本文 若し衆生、能く治すること有りと言わば、是の処有ること無けん。」 時に大臣有り、「日月称」と名づく。王の所に往至して、一面に在りて立ちて白して言さく、「大王。何が故ぞ愁悴して顔容悦ばざる。身痛とやせん、心痛とやせん」と。 王、臣に答えて言わまく、「我今、身心、豈に痛まざることを得んや。我が父、辜無きに横に逆害を加す。我、智者に従いて、曾て是の義を聞きき。「世に五人有り、地獄を脱れず」と。謂わく、五逆罪なり。我、今已に無量無辺阿僧祇の罪有り。云何ぞ身心をして痛まざることを得ん。又、良医の我が身心を治せんもの無けん」と。 臣、大王に言さく、「大きに愁苦すること莫かれ」と。即ち偈を説きて言さく、若し常に愁苦せば、愁、遂に増長せん。人、眠を喜めば、眠則ち滋く多きが如し。婬を貪し酒を嗜むも、亦復是くの如しと。「王の言う所の如し、「世に五人有り、地獄を脱れず」とは、誰か往きて之を見て、来たりて王に語るや。「地獄」と言うは、直ちに是れ世間に多く智者説かく。王の言う所の如し、「世に良医の身心を治する者無けん。」今大医有り、「富闌那」と名づく。一切知見して自在を得て、定んで畢竟じて清浄梵行を修習して、常に無量無辺の衆生の為に無上涅槃の道を演説す。諸の弟子の為に是くの如きの法を説けり。「黒業有ること無ければ、黒業の報無し。白業有ること無ければ、白業の報無し。黒白業無ければ、黒白の業報無し。上業及以び下業有ること無し」と。是の師、今、 紙面画像を印刷 前のページ p287 次のページ 初版p252・253へ このページの先頭に戻る