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 「「五逆」と言うは、若し淄州に依るに五逆に二有り。一には三乗の五逆なり。謂わく、「一には故らに思いて父を殺す。二には故らに思いて母を殺す。三には故らに思いて羅漢を殺す。四には倒見して和合僧を破す。五には悪心をもって仏身より血を出だす。恩田に背き福田に違するを以ての故に、之を名づけて「逆」とす。此の逆を執する者は、身壊れ命終えて、必定して無間地獄に堕して、一大劫の中に無間の苦を受けん。「無間業」と名づく」と。
 又『倶舎論』の中に五無間の同類の業有り。彼の頌に云わく、「母・無学尼を汚す 母を殺する罪の同類。住定の菩薩 父を殺する罪の同類、及び有学・無学 羅漢を殺する同類 を殺す。僧の和合縁を奪う 破僧罪の同類。率都波を破壊する 仏身より血を出だす。」
 二には大乗の五逆なり。『薩遮尼乾子経』に説くが如し。「一には塔を破壊し経蔵を焚焼する、及以び三宝の財物を盗用する。二には三乗の法を謗りて聖教に非ずと言いて障破留難し、隠蔽落蔵する。三には一切出家の人、若しは戒・無戒・破戒のものを打罵し呵責して過を説き、禁閉し還俗せしめ、駆使債調し断命せしむる。四には父を殺し、母を害し、仏身より血を出だし、和合僧を破し、阿羅漢を殺するなり。五には謗じて因果無く、長夜に常に十不善業を行ずるなり」と。已上
 彼の『経』(地蔵十輪経)に云わく、「一には不善心を起こして独覚を殺害する、是れ殺生なり。二には羅漢の尼を婬する、是れを邪行と云うなり。三には所施の三宝物を侵損する、是れ不与取な