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り。是れ第四の功徳相なりと。
 「出第五門は、大慈悲を以て一切苦悩の衆生を観察して、応化身を示して、生死の園・煩悩の林の中に回入して、神通に遊戯し教化地に至る。本願力の回向を以ての故に。是れを「出第五門」と名づく」(論)とのたまえり。「示応化身」とは、『法華経』の普門示現の類の如きなり。「遊戯」に二の義有り。一には自在の義。菩薩、衆生を度す、譬えば師子の、鹿を搏つに、所為、難らざるが如きは、遊戯するが如似し。二には度無所度の義なり。菩薩、衆生を観ずるに、畢竟じて有らゆる所無し。無量の衆生を度すと雖も、実に一衆生として滅度を得る者無し。衆生を度すと示すこと、遊戯するが如似し。「本願力」と言うは、大菩薩、法身の中にして、常に三昧に在して、種種の身・種種の神通・種種の説法を現すことを示すこと、皆、本願力より起こるを以てなり。譬えば阿修羅の琴の、鼔する者無しと雖も音曲自然なるが如し。是れを「教化地の第五の功徳相」と名づくとのたまえり。」已上抄出

 爾れば、大聖の真言、誠に知りぬ。大涅槃を証することは願力の回向に藉りてなり。還相の利益は利他の正意を顕すなり。
 是を以て、論主(天親)は広大無碍の一心を宣布して、普遍く雑染堪忍の群萌を開化す。宗師(曇鸞)は大悲

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爾者大聖真言、誠知。証大涅槃藉願力回向。還相利益顕利他正意。
是以論主宣布広大無碍一心、普遍開化雑染堪忍群萌。宗師顕示大悲往還回向、慇