巻次
化末
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 爾の時に諸龍、佉羅坻山聖人の住処に在りて、光味仙人を尊重し恭敬せん。其れ龍力を尽くして、之を供養せん」と。已上抄出
 『日蔵経』巻第九に「念仏三昧品の第十」に言わく、「爾の時に波旬、是の偈を説き已るに、彼の衆の中に一の魔女有り。名づけて「離暗」とす。此の魔女は、曾、過去に衆の徳本を植えたりき。是の説を作して言わまく、「沙門瞿曇は名づけて「福徳」と称す。若し衆生有りて、仏名を聞くことを得て一心に帰依せん。一切の諸魔、彼の衆生に於いて悪を加うること能わず。何に況んや仏を見たてまつり親り法を聞かん人、種種に方便し慧解深広ならん。乃至 設い千万億の一切魔軍、終に須臾も害を為すことを得ること能わず。如来、今者、涅槃道を開きたまえり。女、彼に往きて仏に帰依せんと欲う」と。即ち其の父の為にして偈を説きて言わまく、乃至

三世の諸仏の法を修学して、一切苦の衆生を度脱せん。
善く諸法に於いて自在を得、当来に願わくは我、還りて仏の如くならんと。

 爾の時に離暗、是の偈を説き已るに、父の王宮の中の五百の魔女姉妹眷属、一切皆、菩提の心を発せしむ。是の時に魔王、其の宮の中の五百の諸女、皆、仏に帰して菩提心を発さしむるを見るに、大瞋忿・怖畏・憂愁を益すと。乃至 是の時に五百の諸の魔女等、更た波旬の為にして偈を説きて言わまく、

若し衆生有りて、仏に帰すれば、彼の人、千億の魔に畏れず。