聖教・巻次一覧

　『〔大無量寿〕経』に「信心歓嘉〔喜〕」と候う。〔『華厳経』を引きて『浄土〕和讃』にも、「信心よろこぶ其の人を　如来とひとしと説きたまう　大信心は仏性なり　仏性即ち如来なり」と仰せられて候うに、専修の人の中に、ある人、心得ちがえて候うやらん、「信心よろこぶ人を如来とひとしと同行達ののたまうは自力なり。真言にかたよりたり」と申し候うなる。人のうえを知るべきに候わねども申し候う。
　また、「真実信心うる人は　即ち定聚のかずの〔に〕入る　不退の位に入りぬれば　必ず滅度をさとらしむ」（浄土和讃）と候う。「滅度をさとらしむ」と候うは此の度、此の身の終り候わん時、真実信心の行者の心、報土にいたり候いなば、寿命無量を体として、光明無量の徳用はなれたまわざれば、如来の心光に一味なり。此の故「大信心は仏性なり、仏性は即ち如来なり」（涅槃経）と仰せられて候うやらん。是れは、十一、二、三の御誓と心得られ候う。罪悪の我等がためにおこしたまえる大悲の御誓の、目出たく、あわれにましますうれしさ、こころ