巻次
巻下
74頁
表示設定
ブックマーク
表示設定
文字サイズ
書体
  • ゴシック
  • 明朝
カラー
テキスト情報
本文
漢文
画像情報
画像情報
本文

心倶に同じく然なり。家を破り身を亡じて前後を顧みず。親属・内外、之に坐して滅ぶ。或る時は室家・知識・郷党・市里・愚民・野人、転た共に事に従いて更いに相利害す。忿、怨結と成り、有るに富みて慳惜す。肯えて施与せず。愛宝貪重にして、心労し身苦しくす。是くの如くして竟に至りて恃怙する所無し。独り来たり独り去りて、一も随う者無けん。善悪・禍福、命を追いて生ずる所なり。或いは楽処に在り、或いは苦毒に入る。然るに後に乃し悔ゆとも当に復た何ぞ及ぶべき。世間の人民、心愚かにして智少し。善を見ては憎謗し、慕い及ぶことを思わず。但し悪を為さんと欲うて妄りに非法を作す。常に盗心を懐きて他の利を悕望す。消散し糜尽して復た求索す。邪心にして正しからず。人の色ること有るを懼る。予め思い計らず。事至りて乃し悔ゆ。今世に現に王法の牢獄有り。罪に随いて趣向して其の殃罰を受く。其の前世に道徳を信ぜず、善本を修せざるに因りて今復た悪を為れば、天神剋識して其の名籍を別

漢文

顧前後。親属内外。坐之而滅。或時室家知識。郷党市里。愚民野人。転共従事。更相利害。忿成怨結。富有慳惜。不肯施与。愛宝貪重。心労身苦。如是至竟。無所恃怙。独来独去。無一随者。善悪禍福。追命所生。或在楽処。或入苦毒。然後乃悔。当復何及。世間人民。心愚少智。見善憎謗。不思慕及。但欲為悪。妄作非法。常懐盗心。悕望他利。消散糜尽。而復求索。邪心不正。懼人有色。不予思計。事至乃悔。今世現有◦王法牢獄。随罪趣向。受其殃罰。因其前世◦不信道徳◦不修善本。今復為悪。天神剋識。別其名籍。寿終神逝。下入悪道。故有自然◦三塗無量苦悩。展転其中。