巻次 - 742頁 表示設定 ブックマーク 表示設定 文字サイズ あ あ あ 書体 ゴシック 明朝 カラー あ あ あ テキスト情報 本文 画像情報 画像情報 本文 このふみをもって、人々にもみせまいらせさせ給うべく候う。「他力には義なきを義」とは申し候うなり。(一〇) 御ふみくわしくうけ給わり候いぬ。さては、ごほうもんのごふしんに、一念発起信心のとき、無碍の心光にしょうごせられまいらせ候うゆえ、つねに浄土のごういん決定すとおおせられ候う。これめでたく候う。かくめでたくはおおせ候えども、これみなわたくしの御はからいになりぬとおぼえ候う。ただ不思議と信ぜさせ給い候いぬるうえは、わずらわしきはからいはあるべからず候う。 又、ある人の候うなること、しゅっせのこころおおく、じょうどのごういんすくなしと候うなるは、こころえがたく候う。しゅっせと候うも、浄土のごういんと候うも、みな一にて候うなり。すべ候いて、これなまじいなる御はからいとぞんじ候う。仏智不思議と信ぜさせ給い候いなば、べつにわずらわしく、とかくの御はからいあるべからず候う。ただ、人々のとかく申し候わんことをば、ごふしんあるべからず候う。ただ如来の誓願にまかせまいらせ給うべく候う。とかくの御はからいあるべからず候うなり。あなかしこ、あなかしこ。五月五日 親鸞しょうしんの御ぼうへ他力と申し候うは、とかくのはからいなきを申し候うなり。 紙面画像を印刷 前のページ p742 次のページ 初版p605・606へ このページの先頭に戻る