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改邪鈔

(1)一 今案の自義をもって名帳と称して祖師の一流をみだる事。
 曾祖師黒谷の聖人の御製作『選択集』にのべらるるがごとく、「大小乗顕密の諸宗におのおの師資相承の血脈あるがごとく、いままた浄土の一宗において、おなじく師資相承の血脈あるべし」と云々 しかれば、血脈をたつる肝要は、往生浄土の他力の心行を獲得する時節を治定せしめて、かつは師資の礼をしらしめ、かつは仏恩を報尽せんがためなり。かの心行を獲得せんこと、念仏往生の願成就の「信心歓喜 乃至一念」(大経)等の文をもって依憑とす。このほか、いまだきかず、曾祖師 源空、祖師 親鸞、両師御相伝の当教において、名帳と号して、その人数をしるして、もって往生浄土の指南とし、仏法伝持の支証とすということをば。これおそらくは、祖師一流の魔障たるをや。ゆめゆめかの邪義をもって、法流の正義とすべからざるものなり。もし「即得往生 住不退転」(大経)等の経文をもって、平生業成の他力の心行獲得の時剋をききたがえて、名帳勘録の時分にあたりて、往生浄土の正業治定する、なんどばし、ききあやまれるにやあらん。ただ別の要ありて人数をしるさば、そのかぎりあり。しからずして、念仏修行する行者の名字をしるさんからに、このとき往生浄土のくらい、あに治定すべけんや。こ