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きて、起行の篇をもって、まず雑行をさしおきて正行を修すべしとすすむと云々 これをもって一流の至要とするにや。この条、総じては真宗の廃立にそむき、別しては祖師の御遺訓に違せり。正行五種のうちに、第四の称名をもって正定業とすぐりとり、余の四種をば助業といえり。正定業たる称名念仏をもって往生浄土の正因とはからいつのるすら、なおもって凡夫自力のくわだてなれば、報土往生かなうべからずと云々 そのゆえは、願力の不思議をしらざるによりてなり。当教の肝要、凡夫のはからいをやめて、ただ摂取不捨の大益をあおぐものなり。起行をもって一向専修の名言をたつというとも、他力の安心、決得せずんば、祖師の御己証を相続するにあらざるべし。宿善もし開発の機ならば、いかなる卑劣の輩も願力の信心をたくわえつべし。しるべし。
(16)一 当流の門人と号する輩、祖師先徳報恩謝徳の集会のみぎりにありて、往生浄土の信心においてはその沙汰におよばず、没後葬礼をもって本とすべきように衆議評定する、いわれなき事。
右、聖道門について密教所談の「父母所生身 速証大覚位」(発菩提心論)とらいえるほかは、浄刹に往詣するも苦域に堕在するも、心の一法なり。全く五蘊所成の肉身をもって、凡夫速疾に浄刹のうてなにのぼるとは談ぜず。他宗の性相に異する自宗の廃立、これをもって規とす。しかるに、往生の信心の沙汰をば手がけもせずして、没後喪礼の助成扶持の一段を当流の肝要とす
