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上末
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製作を書写し、真影を図画す。是れ専念正業の徳なり。是れ決定往生の徴なり。仍って悲喜の涙を抑えて由来の縁を註す」と云々

(絵)

 おおよそ源空聖人在生のいにしえ、他力往生のむねをひろめ給いしに、世あまねくこれにこぞり、人ことごとくこれに帰しき。紫禁青宮の政を重くする砌にも、先ず黄金樹林の蕚にこころをかけ、三槐九棘の道を正しくする家にも、直ちに四十八願の月をもてあそぶ。しかのみならず、戎狄の輩、黎民の類、これをあおぎ、これをとうとびずという事なし。貴賤、轅をめぐらし、門前、市をなす。常随昵近の緇徒そのかずあり。都て三百八十余人と云々 しかありといえども、親りその化をうけ、懃にその誨を守る族、はなはだまれなり。わずかに五、六輩にだにもたらず。善信聖人、或時申したまわく、「予、難行道を閣きて、易行道に移り、聖道門を遁れて、浄土門に入りしより以来、芳命をこうぶるにあらずよりは、豈に出離解脱の良因を蓄えんや。喜びの中の悦び、何事か之に如かん。しかあるに、同室の好を結びて、ともに一師の誨をあおぐともがら、これおおしといえども、真実に報土得生の信心を成じたらんこと、自他おなじくしりがたし。故に、且は当来の親友たるほどをもしり、且は浮生の思い出ともし侍らんがために、御弟子参集の砌にして、出言つこうまつりて、面々の意趣をも試みんとおもう所望あり」と云々 大師聖人のたまわく、「此の条、尤も然るべし。即ち明日人々来臨のとき、