巻次
第五帖
1011頁
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つのまなこたちまちにとじ、ひとつのいきながくたえぬれば、紅顔むなしく変じて、桃李のよそおいをうしないぬるときは、六親眷属あつまりてなげきかなしめども、更にその甲斐あるべからず。さてしもあるべき事ならねばとて、野外におくりて夜半のけぶりとなしはてぬれば、ただ白骨のみぞのこれり。あわれというも中々おろかなり。されば、人間のはかなき事は、老少不定のさかいなれば、たれの人もはやく後生の一大事を心にかけて、阿弥陀仏をふかくたのみまいらせて、念仏もうすべきものなり。あなかしこ、あなかしこ。
(一七) それ、一切の女人の身は、後生を大事におもい、仏法をとうとくおもう心あらば、なにのようもなく、阿弥陀如来をふかくたのみまいらせて、もろもろの雑行をふりすてて、一心に後生を御たすけ候えと、ひしとたのまん女人は、かならず極楽に往生すべき事、さらにうたがいあるべからず。かようにおもいとりてののちは、ひたすら、弥陀如来の、やすく御たすけにあずかるべき事のありがたさ、又、とうとさよとふかく信じて、ねてもさめても、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏と申すべきばかりなり。これを信心とりたる念仏者とは申すものなり。あなかしこ、あなかしこ。
(一八) 当流聖人のすすめまします安心というは、なにのようもなく、まず我が身のあさましきつみのふかきことをばうちすてて、もろもろの雑行雑修のこころをさしおきて、一心に、阿弥陀如来、後生たすけたまえと、一念にふかくたのみたてまつらんものをば、たとえば十人は十人、百人は百人ながら、みなもらさずたすけたまうべし。これさらにうたがうべからざるものなり。かように