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(14)一 仰せに、「弥陀をたのみて御たすけを決定して、御たすけのありがたさよとよろこぶこころあれば、そのうれしさに念仏もうすばかりなり。すなわち仏恩報謝なり。」
(15)一 大津近松殿に対しましまして、仰せられ候う。「信心をよく決定して、ひとにもとらせよ」と仰せそうらいき。
(16)一 十二月六日に富田殿へ御下向にて候うあいだ、五日の夜は大勢御前へまいりそうろうに、仰せに、「今夜はなにごとにひとおおくきたりたるぞ」と。順誓もうされ候うは、「まことに、このあいだの御聴聞もうし、ありがたさの御礼のため。また、明日御下向にて御座そうろう。御目にかかりもうすべしかのあいだ、歳末の御礼のためならん」と、もうしあげられけり。そのとき、仰せに、「無益の歳末の礼かな。歳末の礼には、信心をとりて礼にせよ」とおおせそうらいき。
(17)一 仰せに、「ときどき懈怠することあるとも、往生すまじきかと、うたがいなげくことあるものあるべし。しかれども、はや弥陀如来をひとたびたのみまいらせて、往生決定ののちなれば、懈怠おおうなることのあさましや。かかる懈怠おおうなるものなれども、御たすけは治定なり。ありがたやありがたやと、よろこぶこころを、他力大行の催促なりともうす」とおおせられそうろうなり。
(18)一 「御たすけありたることのありがたさよと、念仏もうすべく候うや。又、御たすけあろうずる事のありがたさよと、念仏もうすべく候うや」ともうしあげそうろうとき、仰せに、「いずれもよし。