巻次 - 1039頁 表示設定 ブックマーク 表示設定 文字サイズ あ あ あ 書体 ゴシック 明朝 カラー あ あ あ テキスト情報 本文 画像情報 画像情報 本文 はずさずひくひとなり。それさえ、「さしよせてもうせ」と、蓮如上人、御掟候うなり。ことばすくなに安心のとおりもうせと御掟なり。(61)一 善宗、もうされ候う。「こころざし、もうし候うとき、わがものがおにもちてまいるは、はずかしき」よし、もうされ候う。「なにとしたることにて候うや」ともうしそうらえば、「これはみな、御用のものにてあるを、わがもののようにもちてまいる」ともうされそうろう。「ただ、上様(蓮如)のもの、とりつぎ候うことにてそうろうを、わがものがおに存ずるか」ともうされそうろう。(62)一 津国ぐんけの主計ともうすひとなり。ひまなく念仏もうすあいだ、ひげをそるとき、きらぬことなし。わすれて念仏もうすなり。ひとのくちはたらかねば、念仏もすこしのあいだももうされぬかと、こころもとなきよしにそうろう。(63)一 仏法者、もうされ候う。「わかきとき、仏法はたしなめ」と候う。「としよれば、行歩もかなわず、ねむたくもあるなり。ただ、わかきとき、たしなめ」と候う。(64)一 衆生をしつらいたまう。しつらうというは、衆生のこころを、そのままおきて、よきこころを御くわえそうらいて、よくめされなし候う。衆生のこころを、みなとりかえて、仏智ばかりにて、別に御したて候うことにては、なくそうろう。(65)一 わが妻子ほど不便なることなし。それを勧化せぬは、あさましきことなり。宿善なくは、ちからなし。わが身をひとつ、勧化せぬものが、あるべきか。 紙面画像を印刷 前のページ p1039 次のページ 初版p866・867へ このページの先頭に戻る