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て、人になおされ候わでは、心得のなおること、あるべからず。まきたては、信をとることあるべからず」と仰せられ候うと云々
(108)一 何ともして、人になおされ候うように、心中を持つべし。わが心中をば、同行の中へうちいでおくべし。下としたる人のいうことをば、必ず用いざれば、腹立するなり。あさましきことなり。ただ、人になおさるるように、心中を持つべき義に候う。
(109)一 人の、前々住上人(蓮如)へ申され候う。「一念の処、決定にて候う。ややもすれば、善知識の御ことを、おろそかに存じ候う」由、申され候えば、仰せられ候う。「最も、信のうえは、崇仰の心あるべきなり。さりながら、凡夫心にてはなきか。かようの心中のおこらん時は、勿体なき事とおもいすつべし」と仰せられしと云々
(110)一 蓮如上人、兼縁に対せられ、仰せられ候う。「たとい木の皮をきるいろめなりとも、なわびそ。弥陀をたのむ一念をよろこぶべき」由、仰せられ候う。
(111)一 前々住上人、仰せられ候う。「上下老若によらず、後生は油断にてしそんずべき」の由、仰せられ候う。
(112)一 前々住上人、御口のうちを御煩い候うに、おりふし、「ああ」と、御目をふさがれ、仰せられ候う。さだめて御口中御煩いと、皆々存じ候う処に、ややありて仰せられ候う。「人の信のなきことを思し召せば、身をきりさくようにかなしきよ」と仰せられ候う由に候う。