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う御念力一つにて、かように、今まで、皆々、心やすくあることは、此の法師が冥加に叶うによりてのことなり」と御自証ありと云々
(144)一 前々住上人(蓮如)は、昔はこぶくめをめされ候う。白小袖とて、御心やすく召し候う御事も、御座なく候う由に候う。いろいろ御かなしかりける事ども、折々、御物語候う。「今々の者は、左様の事を承り候いて、冥加を存ずべき」の由、くれぐれ仰せられ候う。
(145)一 よろず御迷惑にて、油をめされ候わんにも、御用脚なく候う間、ようよう、京の黒木をすこしずつ御とり候いて、聖教など御覧そうろう由に候う。又、少々は、月の光にても聖教をあそばされ候う。御足をも、大概、水にて御洗い候う。又、二、三日も御膳まいり候わぬ御事候う由、承りおよび候う。
(146)一 「人をも、甲斐甲斐しくめしつかわれ候わである上は、幼童の襁褓をも、御ひとり、御洗い候う」などと仰せられ候う。
(147)一 存如上人召し仕い候う小者を、御雇い候いて、めしつかわれ候う由に候う。存如上人は、人を五人めしつかわれ候う。蓮如上人、御隠居の時も、五人めしつかわれ候う。当時は、御用にて、心のままなること、そらおそろしく、身もいたくかなしく存ずべき事にて候う。
(148)一 前々住上人、仰せられ候う。「昔は仏前に伺候の人は、本は紙絹に輻をさし、着候う。今は白小袖にて、結句、きがえを所持候う。これ、その比は禁裏には、御迷惑にて、質をおかれて御