巻次 - 1055頁 表示設定 ブックマーク 表示設定 文字サイズ あ あ あ 書体 ゴシック 明朝 カラー あ あ あ テキスト情報 本文 画像情報 画像情報 本文 用にさせられ候う」と、ひきごとに御沙汰候う。(149)一 又、仰せられ候う。「御貧しきに候いて、京にて古き綿を御とり候いて、御一人、ひろげ候う事あり。又、御衣は、かた破れたるをめされ候う。白き御小袖は、美濃絹のわろきをもとめ、ようよう、一つめされ候う」よし、仰せられ候う。当時は、かようの事をもしり候わであるべきように、みなみな存じ候うほどに、冥加につき申すべし。一大事なり。(150)一 「「同行・善知識には、能く能くちかづくべし。親近せざるは、雑修の失なり」と、『礼讃』にあらわせり。悪しき者にちかづけば、それにはならじと思えども、悪事、よりよりにあり。只、仏法者には、馴れちかづくべき」よし、仰せられ候う。俗典に云わく、「人の善悪は、近習による」と。又、「その人を知らんとおもわば、その友をみよ」といえり。「善人の敵とはなるとも、悪人を友とすることなかれ」という事あり。(151)一 「聞けばいよいよかたく、仰げばいよいよたかし」ということあり。物をききてみて、かたきと知るなり。本願を信じて、殊勝なるほどもしるなり。信心おこりぬれば、とうとく、ありがたく、よろこびも増長するなり。(152)一 凡夫の身にて後生たすかることは、ただ易きとばかり思えり。「難中之難」とあれば、輒くおこしがたき信なれども、仏智より、得易く成就したまう事なり。「往生ほどの一大事、凡夫のはからうべきにあらず」といえり。前住上人(実如)、仰せに、「後生一大事と存ずる人には、御同 紙面画像を印刷 前のページ p1055 次のページ 初版p881・882へ このページの先頭に戻る